「デアデビル」はアメリカ国家を否定する社会派作品だった!

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これはお気楽なヒーローアクション作品ではない

デアデビル

最初に言っておくと、この「デアデビル」は大人から子供まで楽しめる、お気楽なヒーロー作品ではない。

「悪は許さない!正義は勝つ!」といったお決まりの勧善懲悪ストーリーを期待して見始めると、ポカーンとしてしまうだろう。

映像は一貫して薄暗く、巨大なモンスターが出てくる事もなければ、主人公がド派手なビームを出すこともない。

これは、「アベンジャーズ」や「アイアンマン」を送り出してきたマーベル・コミックが製作しているため、ヒーローアクションドラマにカテゴリーされてしまうかもしれないが、注意深く見れば「デアデビル」は2015年現在のアメリカ国家へ強烈にNOを突き付ける社会派作品だ。

主人公はルシファーの象徴でアメリカ国家に戦いを挑む

デアデビル

主人公のマットは幼い頃に交通事故へ巻き込まれたさい、両目に薬品を浴びてしまい視力を失う。

苦学の末に弁護士となった彼は、教会の懺悔室を訪れる。

神父から「何を懺悔しに来たんだ?」と問われたマイケルは、「過去の行いではない、許してほしいのは、これからすることです」と答える。

第1話のサブタイトル「戦いのゴング」は、この時に鳴らされた。

すなわち、マイケルは神に背いてでも悪と戦う事を決意したのだ。

この「デアデビル」はキリスト教と関わりの深い作品だ。

旧約聖書の中でも神の意思に背く者がいた。

それは堕天使ルシファー。

17世紀の詩人ジョン・ミルトンが記した「失楽園」の中で、ルシファーは偉大な神ヤハウェに疑問をいだき、服従するよりも自分の意志で戦うことを選ぶ。

この「デアデビル」の中では、主人公のマットがルシファーであり、戦いを挑む神は現在のアメリカ国家だ。

今、アメリカ国内には聖書の教えだけを守り、進化論さえも否定するキリスト教原理主義者(福音派)が人口の3分の1にまで増えている。

そして、この福音派の人たちはアメリカの二大政党の一つ、共和党の最大支持基盤でもある。

共和党の政策方針は福祉などの社会保障を縮小し、経済にも介入しない、いわゆる小さな政府だ。

つまり金持ちは優遇して、社会的弱者である移民や貧困層には救いの手を差し伸べない。

今は民主党政権でオバマ大統領が国を動かしているが、メキシコからの移民問題や中東問題で、異教徒やアメリカを脅かす存在を嫌うキリスト福音派の発言は、強さを増していっている。

アメリカの社会は、今どんどん右翼化しているのだ。

来年行われるアメリカ大統領選挙で、共和党の候補者のトップに過激な発言でお馴染みのドナルド・トランプがいることでも明らかだ。

骨が砕ける音まで聞こえる生々しいバトル

デアデビル

「デアデビル」は、そんな現在のアメリカに警笛を鳴らしている。

「何が善くて、何が悪いのか、もう一度よく考えようぜ」という製作サイドの思惑が、物語の中に込められているのだ。

ドラマの中で主人公のマットが戦うのは、弱者から労働力を搾取し、都合の悪いことは力ずくで隠ぺいする大企業や裏社会の組織だ。

悪者とのバトルシーンでは、鍛えぬいた自分の拳で血反吐を吐きながら肉弾戦を繰り広げる。

それは従来のヒーロー作品と見比べると地味かもしてないが、とてもリアルで生々しく、手に汗握ってしまう。

ライトな作品が好みの方にはお勧めしないが、重厚な作りの作品を望む方は、視聴して損はないだろう。

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